抄録
我々はシロイヌナズナの核コード葉緑体タンパク質の機能解析を目的に、葉緑体タンパク質のタグラインの大規模収集を行った。我々は、予想プログラムで予想された2,090個の葉緑体タンパク質の内、遺伝子の内部にトランスポゾンまたはT-DNAが挿入した1,369個、3,244ラインのタグラインを収集し、ホモラインプールの作製と生育プレート上で芽生えの表現型観察を行った。これまでに1,234ラインの表現型に異常がないホモラインを得ると同時に、アルビノやペールグリーン変異体を含む100ラインの表現型異常変異体とホモ個体が得られない141ラインの胚発生異常変異体を得た。我々は、収集した変異体ラインの情報をRACE(RIKEN Arabidopsis Chloroplast Encyclopedia)と名付けたデータベース上で公開する準備をしている。ここにはタグの挿入により異常な表現型を示した変異体の遺伝子情報だけではなく、変異体の表現型写真や発芽率を含む多くの情報を提供する。またウェブ中でリソースの詳細な情報にアクセスでき、AGIコード、変異体ライン番号、表現型によって検索が可能である。収集したホモラインは、葉緑体タンパク質の機能解析のためのスクリーニングのための強力なツールとして有用なリソースである。