日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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葉緑体DNA結合タンパク質pTAC3による転写制御の解明
*八木 祐介石崎 陽子中平 洋一椎名 隆
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p. 0150

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抄録
色素体はランソウ由来の細胞内小器官であり、細菌型RNAポリメラーゼ(PEP)が機能している。葉緑体から調整された転写活性画分(pTAC: plastid transcription active chromosome)には、PEPだけでなく、ランソウにホモログの無い複数のタンパク質が検出されている。このことは、高等植物独自の葉緑体遺伝子発現制御機構の存在を示唆するが、pTACタンパク質の分子機能は、ほとんど解析されていない。pTAC3は、核マトリックスへの結合に関わるDNA結合ドメイン(SAPドメイン)を持ち、陸上植物のみに存在するタンパク質である。pTAC3欠損変異体は、葉が白色化する表現型を示し、PEP依存の転写産物の蓄積が大きく減少していることがわかった。さらに、葉緑体ChIP assayを行い、葉緑体DNAのどの位置に多くpTAC3が結合しているかを調べた。その結果、pTAC3は葉緑体DNAの中でも、PEPによる転写領域に多く存在していることが分かった。また、Gel shift解析からpTAC3のSAPドメインは、dsDNA結合性を有しているが配列特異性は低いことが示された。これらの結果より、高等植物の葉緑体では、ランソウには存在しない真核型のDNA結合タンパク質pTAC3が、細菌型RNAポリメラーゼであるPEPによる転写制御に大きく関わっていることが示唆された。
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© 2009 日本植物生理学会
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