抄録
PixJ1は単細胞性シアノバクテリアSynechocystis sp. PCC 6803の正の走光性に必至なフィトクロム様光受容体であり、青色光吸収型(Pb型、最大吸収435 nm)と緑色光吸収型(Pg型、最大吸収535 nm)の間を可逆的に光変換する光受容体である。第48回本年会では、77-298 Kの範囲でPb型からPg型、またはPg型からPb型への紫外/可視吸収スペクトル変化を解析し、光反応初期過程を推測した。本発表では、励起光、測定温度などの条件を改良して低温紫外/可視吸収スペクトル測定し、より詳細な光反応初期過程に関する以下の結果を得たので報告する。(1)(Pb->Pg変換)Pb型には2つの異なる電子基底状態があり、異なる光反応過程を経てPg型へ変換する可能性が示唆された。(2)(Pg->Pb変換)250 Kで最終反応物(Pg型)よりも長波長領域(560 nm)に吸収ピークを示す中間体について既に報告したが、さらに580 nm吸収型中間体を経てPbを生成することを見いだした。