日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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13N標識窒素ガスを用いたダイズ根粒における窒素固定の非侵襲的イメージング
*石井 里美鈴井 伸郎伊藤 小百合河地 有木石岡 典子大竹 憲邦大山 卓爾藤巻 秀
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p. 0183

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抄録
ダイズの根に共生する根粒菌は根粒を形成し、空中の窒素を固定する。根粒は固定した窒素(固定窒素)を他の部位に輸送することで植物体に窒素栄養を供給する役割を持つ。これまで、高等植物における窒素固定や固定窒素の輸送といった窒素の動態に関する研究は、主に安定同位体の15Nにより窒素を標識する方法が用いられてきた。しかし、安定同位体を用いる方法は侵襲的な分析を必要とするため、例えば光や温度の変化に対する数時間内の窒素の固定や固定窒素の輸送の変化といった、環境変化に対する短時間の生理的な応答を解析することは難しかった。
そこで本研究では、放射性同位体の13N(半減期9.97分)により標識した窒素ガスを用いることにより、窒素の固定および固定窒素の輸送の非侵襲的なイメージングを実現すること、さらに生理機能の定量的な解析を実現することを目的とした。本発表では、1)高純度の13N標識窒素ガスの製造法を開発し、一定の酸素、窒素を含むガスを調製し、2)根粒を形成したダイズ植物個体の地下部に与え、根粒に固定される窒素をPETIS(positron-emitting tracer imaging system)により非侵襲的にイメージングし、3)短時間(10分間)の窒素固定速度を定量することに成功したので報告する。
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© 2009 日本植物生理学会
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