日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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リン酸化修飾がイネCPD光回復酵素の機能に及ぼす影響
*寺西 美佳高橋 正明中村 憲太郎日出間 純
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p. 0220

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抄録
紫外線B (UVB: 280-320 nm) 照射によって生じるDNA損傷 (シクロブタン型ピリミジン二量体: CPD) を修復するCPD光回復酵素は、青色光/UVAの光エネルギーを利用して単一酵素でCPDを修復する酵素であり、イネのUVB耐性を左右する主要因子である。我々は、イネ葉から精製したCPD光回復酵素がリン酸化修飾を受けていることを見出した。これは、いずれの生物においても見出されていない新たな現象である。そこで我々は、リン酸化修飾が酵素の機能に与える影響を明らかにするため、イネから精製したCPD光回復酵素から、リン酸化型と非リン酸化型の酵素を分離し、in vitroでの酵素活性を測定した。その結果、 CPD光回復酵素の活性は、リン酸化型と非リン酸化型で差が見られなかった。また一方、イネにおいてCPD光回復酵素は、DNAを有するオルガネラである核・葉緑体・ミトコンドリアの全てに移行して活性を示すことも我々は見出している。そこで、それぞれのオルガネラを単離し、各オルガネラに含まれるCPD光回復酵素のリン酸化状態を解析した。その結果、核と葉緑体にはリン酸化型が、ミトコンドリアには非リン酸化型が主に含まれていた。これらの結果を含め本発表では、CPD光回復酵素のリン酸化修飾が、酵素機能に与える影響について考察したい。
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© 2009 日本植物生理学会
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