日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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うどん粉病菌感染に対するシロイヌナズナ初期防御応答機構の形態学的解析
*稲田 のりこセイボリー エリザベス・アン
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p. 0234

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抄録
カビ真菌の病原体であるうどん粉病菌は、穀物・野菜・観葉植物など、数多くの植物に感染し、毎年多大な被害を及ぼしている、経済的に重要な病害である。うどん粉病菌は、宿主特異性が非常に高いこと、また、表皮細胞のみに感染し、組織表層で成長・増殖する絶対寄生菌であるという特徴を持っている。うどん粉病菌を含めた病原体に対する植物応答は、(1)細胞壁による物理的な防御、(2)侵入時の病原体認識による防御、(3)病原体侵入後、病原体と植物細胞のタンパク質相互作用により発動される防御応答、など、多層構造を取ることが知られている。うどん粉病菌侵入時の防御応答については、非宿主菌に対する応答を見た近年の解析により、その分子機構が明かになりつつある。しかし、侵入時防御応答以外のうどん粉病菌に対する防御機構については、全く理解が進んでいないのが現状である。発表者らは、うどん粉病菌に対する初期応答機構を解明する目的で、シロイヌナズナーうどん粉病菌(Golovinomyces orontii)の系を用い、詳細な形態学的解析を進めている。その結果、うどん粉病菌感染には組織選択性があること、また、組織選択的なうどん粉病菌感染阻害には、組織表面のワックス結晶が重要な働きを果たしていることを明かにしたので、これを報告する。
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© 2009 日本植物生理学会
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