日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シアノバクテリアSynechococcus elongatus PCC 7942における遺伝子発現リズム出力機構の解明
谷口 靖人*高井 直樹片山 光徳近藤 孝男小山 時隆
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p. 0258

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抄録
シアノバクテリアSynechococcus elongatus PCC 7942において,多くの遺伝子の発現は24時間周期の概日リズムを示す。この遺伝子発現リズムはKaiA, KaiB, KaiCという3つの時計タンパク質が構成する化学振動子の出力として生み出される。現在までに,遺伝子発現リズムに異常の見られる様々な突然変異体が単離され,それらの原因遺伝子の機能解析が進んでいる。その中でも,sasA, rpaA, labAという3つの遺伝子は化学振動子が生み出す時間情報を遺伝子発現へ伝達する重要な出力系遺伝子である。化学振動子の時間情報は二成分制御系のセンサーキナーゼであるSasAとそのレスポンスレギュレーターであるRpaAを介した転写活性化経路と、LabAを介したKaiC量依存的転写抑制経路の2つの経路が時計遺伝子kaiBCのリズミックな転写調節に働くことが知られていた。しかし,labA/sasA二重破壊変異体においても、低振幅ながらkaiBC概日リズムがはっきりと確認できた。このことから,LabAとSasA以外の因子を介した転写出力経路の存在が示唆されていた。我々は新たな概日転写出力経路の同定に成功したので、本会で報告する。
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© 2009 日本植物生理学会
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