日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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単細胞クラミドモナスにおいてルシフェラーゼレポーターの概日リズムは転写後に調節される
*丹羽 由実松尾 拓哉立川 誠小内 清石浦 正寛
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p. 0259

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抄録
ルシフェラーゼレポーターは、プロモーター活性の概日リズムを測定する手段として多くの生物種で使われている。そこで私たちは、ルシフェラーゼレポーターを使って単細胞緑藻クラミドモナスの時計遺伝子のプロモーター活性をレポートする生物発光株の作製を試みた。
時計遺伝子ROC15およびROC75のプロモーター領域にコドンを最適化したホタルルシフェラーゼのコード配列を連結し、クラミドモナスの核ゲノムに遺伝子移入した。ROC15ROC75のmRNA量の概日リズムの位相は約8時間ずれているので、生物発光の位相も同じように8時間ずれると予想された。ところが驚くべきことに、ROC15レポーター株とROC75レポーター株の生物発光リズムは同じ位相で振動した。用いた時計遺伝子のプロモーター領域はルシフェラーゼレポーターの発現リズムに反映されていないのだろうか?ROC15およびROC75レポーター株のルシフェラーゼmRNA量の概日リズムを調べたところ、生物発光とは異なり明らかに8時間のリズム位相のずれが認められた。したがって、少なくともmRNAの蓄積の段階まではROC15ROC75遺伝子の概日リズムを反映していることが解った。この結果からクラミドモナスでは,転写後にルシフェラーゼレポーターの生物発光リズムを調節する機構があることが示唆された。
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© 2009 日本植物生理学会
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