日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

シロイヌナズナ切離葉におけるRubisco-containing body (RCB)の形成に影響を及ぼす要因の解析
*泉 正範石田 宏幸牧野 周
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 0285

詳細
抄録
これまで私達は葉緑体ストロマ成分の一部が小胞RCBとして葉緑体から切り離されオートファジーにより液胞に輸送分解されることを明らかにした。オートファジーは炭素や窒素飢餓時に特に誘導されると考えられている。RCBは老化段階の葉でより多く形成されるが、栄養環境との関係は分かっていない。本研究では切離した老化葉において栄養環境がRCB形成に及ぼす影響を解析した。RCBは切離葉を暗所下、飢餓条件でコンカナマイシンAを加えインキュベートすることで液胞に蓄積する。インキュベート時にスクロースを含むMS培地成分を添加するとRCB形成は著しく抑制された。詳細に解析すると、その抑制を引き起こす主成分はスクロースであった。またインキュベート時に光を照射することでもRCB形成は抑制されたが、DCMUの添加でその抑制は起こらなかった。葉の糖含量を調べると、可溶性糖、デンプンが光照射下では共に蓄積しており、暗所下では共に減少していた。以上の結果から葉の糖含量がRCB形成を制御する一つの要因になっていることが示唆された。次にインキュベート環境がRCBを含むオートファゴソーム全体の形成に及ぼす影響を解析した。その結果、光照射はRCB形成を抑制するが、葉緑体以外の成分を含む他のオートファゴソーム形成は抑制しないことが分かった。この結果はRCB形成を特異的に制御するオートファジー機構が存在することを示唆している。
著者関連情報
© 2009 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top