日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

Synechococcus elongatus PCC 7942 におけるグリコーゲン分解代謝
*鈴木 英治阿部 夏子足利 翼石川 理美中村 保典
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 0295

詳細
抄録
Synechococcus elongatus PCC 7942 株のグリコーゲン生合成代謝変異株を用いたこれまでの解析から、貯蔵多糖の蓄積が塩ストレスや酸化ストレス環境下での生育に重要であることが明らかとなった。本研究ではホスホリラーゼ(glgP)および α-1,4-グルカン転移酵素(malQ)変異株を新たに作製し、既に報告した枝切り酵素(glgX)変異株と併せ、多糖代謝能に関して解析を行った。
野生株粗抽出液において検出される GlgP、MalQ の活性は、各変異株でそれぞれ特異的に消失していた。またアミロペクチンを含む非変性ゲル電気泳動活性染色法におけるバンドパターンの差異に基づいて GlgP、MalQ に対応するバンドを特定することができた。
野生株において細胞あたりのグリコーゲン含量は一定値を維持しており、明暗周期(12 h/12 h)の暗期ではグリコーゲンの分解はほとんど認められなかった。これに対し、連続暗下、塩ストレス条件(0.2 M NaCl)下ではグリコーゲンの分解が顕著に促進された。そして同条件下において、glgPglgXmalQ 変異株ではグリコーゲン分解活性が著しく低下していることが見出された。以上の結果から、シアノバクテリアの貯蔵多糖分解代謝において GlgP、GlgX、MalQ が重要な役割を担っていることが強く示唆された。
著者関連情報
© 2009 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top