日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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アナベナチラコイド膜の栄養環境依存性の顕微蛍光スペクトル解析
*薮田 光教長谷川 慎寺嶋 正秀熊崎 茂一
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p. 0302

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抄録
シアノバクテリアの一種であるアナベナは、光独立栄養生育の他に、暗条件下でも有機物添加により従属栄養生育も可能である。一部のシアノバクテリアに関しては過去の電子顕微鏡等を用いた研究により、従属栄養生育の場合のチラコイド膜形態や色素タンパク質構成が独立栄養生育の場合と大きく異なることが知られてきた。顕微蛍光スペクトル分析ではチラコイド膜の微細形態の変化がどのように進行するのかを微小領域ごとの蛍光スペクトルで分析可能となるので、さらに詳細にチラコイド膜の性質・形態変化を理解することが可能になると期待される。我々の用いる2光子励起ライン走査型蛍光スペクトル顕微鏡では、ほぼ回折限界の分解能で、細胞各部の全ての蛍光スペクトルを2nmの波長分解能で得ることができる。この装置を用いてチラコイド膜の栄養環境依存性を調べた。先ず、繰り返し3次元走査に対して、アナベナの耐性を調べた。蛍光像と蛍光スペクトルの強度で見る限り、一つの糸状連結細胞について蛍光スペクトル像を数十の断面で計測することが十分可能であった。そして、従属栄養生育した細胞のチラコイド膜において現れる特異的微細構造部位について蛍光強度分布と蛍光スペクトルを精確に取得することができた。
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© 2009 日本植物生理学会
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