日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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耐塩性ラン藻DnaKにより形質転換したイネは生産量が増加する
*田中 義人内田 明男島田 多喜子三枝 正彦荒木 悦子梶田 浩高倍 鉄子高倍 昭洋
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p. 0322

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抄録
DnaKはHSP70としても知られており、分子シャペロンの中でも重要な役割を果たす。私たちは、死海から単離した耐塩性ラン藻 Aphanothece halophytica のDnaK(ApDnaK)は淡水性ラン藻のDnaKよりも、塩ストレスなし、塩ストレス下のいずれにおいても高いフォールディング活性をもつことを報告した。またApDnaK遺伝子を導入したタバコは、野生型タバコよりも塩ストレス、および高温ストレスに耐性であることを明らかにした。今回、ApDnaK遺伝子を導入したイネを作出し、形質転換タバコおよびイネのストレス耐性および生産量について検討した。
耐塩性ラン藻の分子シャペロンApDnaKを過剰発現したタバコは塩・高温ストレスに耐性を示すだけでなく種子収量も増加した。同じ遺伝子を過剰発現したイネは高温・塩ストレスに耐性を示すだけでなく、通常の生育条件で野生型のイネよりも早い成長と収量の増加が見られた。これらの結果は、ApDnaKによるフォールディング活性の増加がストレス耐性、収量増加、バイオマス増加に寄与していることを示唆している。これらの結果について報告する。
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© 2009 日本植物生理学会
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