日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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クラウンゴール形成時におけるプラスチド内でのゼアチン型サイトカイニンの直接合成の重要性
*上田 七重小嶋 美紀子鈴木 克周榊原 均
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p. 0354

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抄録
アグロバクテリウムが植物に感染すると、Tiプラスミド上のT-DNA領域が宿主細胞の核ゲノムに組み込まれる。このT-DNA領域にはTmrと呼ばれるサイトカイニン(CK)合成酵素(IPT)やオーキシン合成酵素がコードされており、両ホルモンの過剰生産によるホルモンバランスの崩壊により細胞の腫瘍化が誘導される。これまでに我々は宿主細胞内で発現したTmrがプラスチドに移行し、HMBDPを基質として利用することでtZ型CKを直接合成していることを明らかにした[PNAS (2005) 102: 9972]。しかし、Tmrのもつプラスチド移行能力、tZ合成能力の生物学的な重要性についてはまだ明らかにされていない。
今回我々は、T-DNA内のTmr遺伝子をAtIPT1もしくはTzs遺伝子に置換した変異型アグロバクテリウムを作製した。AtIPT1はプラスチドに移行するがtZ型CK合成能を持たない、一方TzsはHMBDPを利用できるがプラスチド内に移行する能力を持たない。野生株を含むこれらアグロバクテリウムの感染による腫瘍形成の程度や腫瘍内のCK分子種含量などを比較することにより、腫瘍形成過程におけるプラスチド内でのtZ型CKの直接合成の重要性が明らかに出来ると期待される。これらの結果について報告したい。
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© 2009 日本植物生理学会
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