日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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水分屈性突然変異体miz2の変異原因遺伝子はGNOMをコードしている
*宮沢 豊高橋 あき子小林 啓恵藤井 伸治高橋 秀幸
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p. 0372

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抄録
植物の主要な吸水器官である根は,水分勾配に応答して水分含量の高い空間へと屈曲・伸長させる水分屈性を発現する.水分屈性は植物の乾燥回避機構に重要な役割を有していると考えられるが,その分子機構は未解明である.我々は,シロイヌナズナの水分屈性突然変異体(mizu-kussei; miz)の単離と解析からその発現機構の解明を目指しており,今回,miz2の変異原因遺伝子の同定に成功したので報告する.miz2 は水分屈性を欠損する劣性の突然変異体である.マップベースクローニングの結果,miz2 変異は小胞輸送に関与するARF-GEFをコードするGNOM内の1アミノ酸置換をもたらす変異であることが推定された.miz2は,既存のgnomアリルで認められるような胚発生,根や維管束の形態,重力屈性について,いずれの異常も認められなかった.一方,GNOM機能を阻害するbrefeldin A処理によって,野生型シロイヌナズナの水分屈性および重力屈性が顕著に阻害されることが明らかになった.これらの結果から,水分屈性にはGNOMによって制御される小胞輸送が必須であること,重力屈性とは独立して機能する小胞輸送系が水分屈性に存在することが示唆された.
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© 2009 日本植物生理学会
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