日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ミオシン変異体の葉柄は光と重力に過敏に応答して屈曲する
*岡本 圭史上田 晴子田村 謙太郎嶋田 知生鈴木 友美長谷 あきら西村 いくこ
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p. 0373

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抄録
植物の細胞内では様々なオルガネラが恒常的に流動しており,その動きは速く方向性を持っている.この原形質流動は古くから研究されており,細胞骨格のアクチンとミオシンが重要な働きをしていることが知られている.しかし,個体レベルにおける原形質流動の意義はいまだに不明である.そこで我々は,モータータンパク質のミオシンに注目し,シロイヌナズナを用いてその意義を明らかにしたいと考えた.シロイヌナズナには17種類のミオシンが存在し,そのうちclass-XIミオシンに属する13種類のアイソフォームが原形質流動に働いていると考えられている.我々はこの13遺伝子のT-DNA挿入変異体を単離し、逆遺伝学的解析を行ったが,顕著な表現型は観察されなかった.次に二重変異体を作製したところ,野生型と比較して植物の背丈や成長速度には差がないが,葉柄が屈曲する変異体を得た.この葉柄の屈曲する条件を詳細に解析したところ,光と重力に過剰に応答していることを発見した.すなわち,野生型の葉柄が屈曲しない条件下で,二重変異体の葉柄は光に対して正の方向に,重力に対して負の方向に屈曲した.この結果は,2つのミオシンが過剰な屈曲応答を抑制する機能を持っていることを示唆している.ミオシンアイソフォーム間での機能分担についても議論する.
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© 2009 日本植物生理学会
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