抄録
重力屈性反応の分子機構の解明を目指して、シロイヌナズナ花茎の重力屈性異常変異体sgr (shoot gravitropism)を単離・解析してきた。一方で、表現型を指標にしたこれまでのスクリーニングでは、表現型の弱いものや形態異常を示すものは排除された可能性が高い。そこで本研究では、変異体を用いたDNAマイクロアレイ解析から新規の重力屈性関連遺伝子の単離を試みた。
シロイヌナズナ花茎において、主要な重力受容の場は、内皮細胞である。そこで、内皮を欠失しているsgr1/scarecrow、sgr7/short root及びSGR7/SHRの1アミノ酸欠損変異体であるeal1 (endodermal-amyloplast less 1)を用い、3者で共通して花茎での発現量が低下している遺伝子をアレイ解析により探索した。これらの遺伝子は、sgr1やsgr7の制御下で発現しており、重力屈性に関与する可能性が期待される。29個の遺伝子が、候補として挙げられ、そのうち少なくとも1遺伝子については、その欠損変異体が弱い重力屈性異常を示した。現在、この遺伝子の機能解析について研究を進めている。