抄録
約24時間周期の内因性リズム(概日リズム)を利用して、多くの生物は様々な生理反応を制御している。シロイヌナズナにおける概日時計の主要な構成因子であるLHYとCCA1を欠損させた二重変異体lhy;cca1では、花成時期に変化が生じる(Mizoguchi et al., Dev Cell 2002; Mizoguchi et al., Plant Cell 2005)。例えば恒明条件下で栽培したlhy;cca1では、野生型と比べて花成遅延形質がみられる。我々は最近、LHY/CCA1による花成制御には、GI-CO-FTを介した光周性花成経路の他に、SVP、FLC及びELF3を介した花成制御経路が関係していることを見出した (Fujiwara et al., Plant Cell 2008; unpublished)。恒明条件下で栽培したlhy;cca1では、花成遅延とともに、葉柄・胚軸長の短縮が見られる。これらの変異形質発現の分子機構理解を目指して、lhy;cca1にEMS処理を行い、胚軸・葉柄長等の器官伸長を指標として、7系統の増強変異体(petanko1-7; pta1-7)と1系統の抑圧変異体を単離した。本大会では、pta1の解析結果を中心に、概日時計因子による器官伸長制御と花成時期の制御について報告する。