日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ペリディニン型渦鞭毛藻におけるPSIIコアタンパク質の変異性
*飯田 聡子小檜山 篤志緒方 武比古村上 明男
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p. 0413

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抄録
多くの渦鞭毛藻類は、褐藻や珪藻などと同様に紅藻由来の葉緑体を持つ二次共生生物で、光合成色素としてクロロフィルa、 クロロフィルc2の他、渦鞭毛藻固有のペリディニンを有する。この渦鞭毛藻では、葉緑体ゲノムが大規模に縮小しており、遺伝子を一つずつコードする複数種のミニサークルから構成されている。本研究では、渦鞭毛藻のPSIIコアタンパク質の構造の特徴を明らかにするため、2種の渦鞭毛藻のpsbA/D 塩基配列を基に、他の二次共生生物や特異な環境に生育するアカリオやグレオなどを含む多様な酸素発生型光合成生物と比較検討した。その結果、1)RNA編集によりゲノムと相補的DNAのアミノ酸コーディング配列が変化していたほか、2) D1タンパク質ではMn4Ca-cluster形成に必須のC末端配列(Asp-Leu-Ala344)が保存されているものの、PSII複合体のアセンブリーに関わるC末端延長配列は欠失していた(緑藻由来の二次共生植物と共通).3)渦鞭毛藻とSynechocystis sp. PCC6803のアミノ酸配列の相違は、D1タンパク質で約25%、D2タンパク質で約20%であった。特に、代謝回転やQB機能と関連が深い領域(D1タンパク質のN末領域、D1/D2タンパク質のD-Eループ領域)に変異が偏っていた。これらのペリディニン型渦鞭毛藻の特異性と構造や機能との関連を考察する。
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© 2009 日本植物生理学会
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