日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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葉緑体チラコイド膜プラストキノン酸化還元レベルの光環境応答~プラストキノン酸化システム~
*三宅 親弘杉本 敏男白石 斉聖尼子 克巳
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p. 0414

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抄録
植物にとって、光合成機能を損なう光障害は成長性を低下する一因となる。したがって、その回避機構は不可欠のものであり、植物は、NPQとして観測されるPSIIでの熱散逸、エレクトロンシンクとしての光呼吸そしてWWCを備えている。我々は、新規な回避機構を見出したので報告する。
弱光下で生育させたタバコ(LL-plant)を強光条件に移した。この強光適応タバコ(LH-plant)は、その後、弱光条件に戻された。このタバコをLHL-plantとする。
LH-およびLHL-plantともに、光合成電子伝達活性に対するNPQおよびqPの値がLL-plantよりも大きかった。qPの増大、つまりPQ酸化は、エレクトロンシンク活性に依存しなかった。そこで、我々は、PQ酸化への熱散逸能の増大が与える影響をモデル化した。その結果、PQ酸化の約20%のみが熱散逸で説明されるにすぎないことが明らかとなった。また、qPが増大したLH-plantからのチラコイド膜は、LL-plantのチラコイド膜と比べて光障害耐性をもつことを明らかにした。これらの結果は、強光適応において、熱散逸およびエレクトロンシンクと異なる新規な機構、PQ酸化システム、が働き、光障害耐性を付与していることを示す。現在、そのメカニズムの解明を試みている。
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© 2009 日本植物生理学会
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