日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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植物の翻訳開始因子eIF6遺伝子の解析
*加藤 祐樹小西 美稲子執行 美香保米山 忠克柳澤 修一
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p. 0416

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抄録
真核生物に広く保存されている翻訳開始因子eIF6はリボソーム大サブユニットの生合成に関与する生存に必須な因子であり、出芽酵母や動物ではeIF6遺伝子の発現量は生育環境に影響されることが知られている。今回、eIF6遺伝子は酵母や動物では1コピーであるのに対して、イネとシロイヌナズナのゲノム上には相同な遺伝子が2コピー存在していることを見出し、これらをOs-eIF6;1とOs-eIF6;2 、及びAt-eIF6;1とAt-eIF6;2と命名した。シロイヌナズナT-DNA挿入株を用いた解析により、At-eIF6;1は生育に必須であるがAt-eIF6;2は必須ではないことが判明した。また、酵母を用いた相補実験により酵母eIF6とAt-eIF6;1は類似した機能を担っていることが示唆された。RT-PCR解析により、At-eIF6;2の発現は極めて低いこと、また、硝酸アンモニウムの添加はAt-eIF6;1、At-eIF6;2及びOs-eIF6;1の発現には影響を及ぼさないが、Os-eIF6;2の発現を一過的に上昇させることがわかった。従って、2個存在するイネとシロイヌナズナのeIF6遺伝子は異なる生理的役割を担っている可能性が考えられた。GUSレポーター遺伝子を用いてAt-eIF6;1プロモーターは分裂が盛んな部位で強い活性を示すという予備的知見も得ており合わせて報告する予定である。
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© 2009 日本植物生理学会
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