日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ALARM CLOCK 1はDNA脱メチル化を介してゲノムインプリンティングの確立に関与する
*池田 陽子木下 由紀角谷 徹仁木下 哲
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p. 0421

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抄録
父親あるいは母親の由来に従い、遺伝子の発現様式が決定されるゲノムインプリンティングは、DNAメチル化やヒストン修飾などのエピジェネティックな情報によって制御される。ゲノムインプリンティングは植物では胚乳でのみ特異的に見られ、この確立には、雌性配偶体の中央細胞において母親アレルが脱メチル化されることが重要であると報告されているが、その機構にはまだ不明な点が多い。
我々が単離したalarm clock for FWA imprinting 1alac1)変異体では、母親特異的に発現するインプリント遺伝子FWAMEDEAFIS2の雌性配偶体の中央細胞における発現が低下していた。さらに、alac1meaおよびfis2変異体と同様に、受精に依存せず中央細胞の核分裂が開始される表現型および、受精後、胚乳が過剰増殖する表現型を示す。また、alac1の胚乳では、野生型と異なり、FWAのプロモーター領域が脱メチル化を受けないことが明らかになった。これらのことからALAC1はDNA脱メチル化を介してゲノムインプリンティングの確立に関与する因子であると考えられる。マップベースドクローニングの結果、ALAC1はクロマチンリモデリング因子をコードする遺伝子をコードしており、クロマチン状態の変換とDNA脱メチル化の関係が示唆される。これらの結果について報告したい。
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© 2009 日本植物生理学会
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