日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナのNAI2はERボディに局在するERボディ形成因子である
*山田 健志永野 惇仁科 桃子西村 いくこ西村 幹夫
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p. 0427

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抄録
ERボディはシロイヌナズナ幼植物体の表皮細胞に見られる,小胞体由来の葉巻型のオルガネラであり,耐虫性,耐病性に関与すると考えられている.ERボディにはβグルコシダーゼであるPYK10が大量に蓄積している.ERボディ形成にはbHLH型転写制御因子,NAI1が関わるが,その下流で働くERボディの因子は不明であった.私たちは,ERボディ形成機構を明らかにするために,GFPでERボディが可視化されたシロイヌナズナを親株として,ERボディが形成されない変異体をスクリーニングし,nai2変異体を単離した(1).NAI2遺伝子はシグナルペプチドとNAI2特異的な領域をもつアブラナ科特有の新規タンパク質をコードしていた.蛍光抗体法,細胞分画法による解析からNAI2タンパク質はERボディに局在することがわかった.nai1変異体において,NAI2遺伝子の発現は減少することから,NAI2遺伝子の発現はNAI1に制御されていることが示された.nai2変異によるERボディの欠損で,PYK10タンパク質は小胞体に分散し,蓄積量が減少した.これらのことから,NAI2はNAI1の下流で働くERボディ形成因子であり, ERボディへの集積によるPYK10の大量蓄積に関わることが明らかとなった.
(1) K. Yamada et al., (2008) Plant Cell. 20, 2529-2540.
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© 2009 日本植物生理学会
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