日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ブラシノステロイド情報伝達因子BIL4の細胞伸長における機能解析
*山上 あゆみ吉澤 江里子齋藤 知恵子中澤 美紀松井 南作田 正明中野 明彦辻本 雅文浅見 忠男中野 雄司
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p. 0458

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抄録
ブラシノステロイド(BR)は植物生長の様々な局面で重要な機能を果たしている植物ホルモンである。我々はBR情報伝達機構の解明を目指し、BR生合成阻害剤Brz存在下での胚軸伸長を選抜条件にして、ArabidopsisのアクティベーションタグラインからBR情報伝達変異体bil4 (Brz-insensitive-long hypocotyl 4)を選抜した。明所下で生育したbil4はロゼット葉の細小化と花茎の短化に基づく細矮性slender dwarf様の形態を示した。BIL4遺伝子として、7回膜貫通ドメインを持つ新規遺伝子が原因遺伝子であると同定した。BIL4プロモーター::GUS形質転換体の解析により、幼葉や根の初期細胞伸長帯においてBIL4の発現が観察された。また、GFP形質転換体のBIL4発現器官における解析により、BIL4タンパク質が液胞膜、TGNや初期エンドソームに局在していることが明らかになった。さらに、BIL4-oxではBR応答性遺伝子であるTCH4Saur-AC1の発現が上昇していたことから、BRの情報伝達が活性化していることが考察された。以上の結果より、BIL4はTGNや初期エンドソームに局在してBRのシグナルを伝達し、BR応答性遺伝子の発現を調節することにより、初期の細胞伸長を引き起こすと考察された。
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© 2009 日本植物生理学会
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