抄録
シロイヌナズナでは26種類ものα-エクスパンシン遺伝子の存在が知られており、果実の成熟、分裂組織の原基形成、組織脱離、花粉管伸長など様々な形態形成の場において機能していることが示されてきている。DNAマイクロアレイ解析の結果をもとに、今回我々は伸長生長を行う胚軸や花茎において高発現しているAtEXPA1、4、6、15に着目し、軸性器官の伸長生長とエクスパンシン機能との関わりについて解析を行った。T-DNA挿入変異株の表現型を観察したところ、atexpa1およびatexpa15変異株において発芽直後の芽生え下胚軸が野生株に比べて短くなる傾向にあり、二重変異株では有意に短くなった。プロモーターGUS解析の結果、AtEXPA15はこの時期の下胚軸において特徴的な発現が観察されたことから、AtEXPA15と下胚軸の伸長生長との関与が示唆される結果が得られた。現在、変異株の表現型の詳細観察とAtEXPA1の発現パターンの解析を行っているので、それらの結果を合わせて報告する。