日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

糖質分解酵素を用いたアラビノガラクタン-プロテイン糖鎖の構造改変
*小竹 敬久高田 遼平北澤 仁成金子 哲五十嵐 圭日子鮫島 正浩円谷 陽一
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 0483

詳細
抄録
アラビノガラクタン-プロテイン(AGP)は原形質膜や細胞壁に存在する植物に普遍的なプロテオグリカンで、様々な生理現象に関与する。AGPの糖鎖はβ-3,6-ガラクタンを骨格とし、側鎖にはL-アラビノース(L-Ara)や4-O-メチルグルクロン酸(4-Me-GlcA)、グルクロン酸(GlcA)が結合する。細胞表層タンパク質の多くがアラビノガラクタン(AG)糖鎖化を受ける可能性が指摘されているが、AG糖鎖の生理機能は明らかにされていない。今回、糖質分解酵素を用いたAG糖鎖の構造改変を試みた。ゲノム情報を利用して真菌のα-L-アラビノフラノシダーゼ(Arafase)とβ-グルクロニダーゼ(GlcAase)をクローニングし、ピキア酵母により組換え酵素、rArafase及びrGlcAaseを作成した。rArafaseはin vitroでダイコン成根由来AGPに作用し、L-Araを遊離した。rGlcAaseは単独ではほとんどAGPに作用しなかったが、rArafaseと協調的に作用させると、L-Araとともに4-Me-GlcAやGlcAを遊離した。Arafase遺伝子とGlcAase遺伝子をシロイヌナズナに導入したところ、組換え植物ではそれぞれの活性が野生型植物の10倍以上に増加した。現在、AGP糖鎖の構造改変が表現形質に与える影響を解析している。
著者関連情報
© 2009 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top