抄録
シアノバクテリアSynechococcus elongatus PCC7942株においてブリーチングは、センサーヒスチジンキナーゼであるNblSにシグナルが伝達されることで制御されると考えられている。我々は酵母2ハイブリッド法を用いたタンパク質間相互作用解析から、NblSとレスポンスレギュレーターであるRpaB、SrrAとの特異的相互作用を見出した。次にこれらのタンパク質を精製し、NblSの自己リン酸化活性、NblSからRpaB、SrrAへのリン酸基転移活性を確認した。ブリーチング時に発現誘導される nblAの上流には、RpaB結合配列であるHLR1様配列が存在することが報告されている。そこで精製RpaBを用いてゲルシフト解析を行った結果、RpaBは nblA上流に結合した。次に nblS、 rpaB破壊株を作製し、 nblA転写産物を解析した結果、野生株と比較して通常の生育条件下において発現量が顕著に増加した。以上の結果からブリーチングはNblRによる正の制御機構に加え、NblS-RpaBによる負の制御機構によって厳密に制御されることが明らかとなった。これらの結果をふまえ、本大会ではNblSによるシグナル伝達機構の詳細を考察する。