日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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緑色硫黄細菌 Chlorobaculum tepidum のチオ硫酸酸化酵素系の機能解析
*志賀 倫子小川 拓郎瀬尾 悌介西本 右子櫻井 英博井上 和仁
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p. 0593

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抄録
緑色硫黄細菌は鉄硫黄型の光合成反応中心を持ち、硫化物やチオ硫酸などの硫黄化合物を電子供与体として光合成を行なう。我々は前回、緑色硫黄細菌Chlorobaculum tepidum の細胞抽出物から、チオ硫酸を酸化し、光化学反応中心複合体へ直接電子供与するcyt c - 554の還元に関わる成分として、SoxYZ、SoxAXK、SoxB、SoxJ の4つ成分の単離精製、及びSoxAXに結合する新たな成分としてのSoxKについて報告した。われわれは大腸菌で発現させたSoxペプチドの生化学的研究から、SoxKがSoxAとSoxXの結合強化、活性促進作用を持つことを示し、SAXB (SoxAX-binding protein)と命名した。比較ゲノム研究から、soxK 遺伝子はチオ硫酸を利用する細菌の約1/3に存在し(緑色硫黄細菌の他にも各種細菌)、SoxA、SoxXの推定アミノ酸配列は、soxK 遺伝子の存否により、またSoxAが持つヘムの数が1か2かによって、合計3つにグループ分けされた。sox 遺伝子クラスターにはsoxJ が存在するが、これはフラボシトクロム c のフラビンサブユニットと高い相同性を示すタンパク質をコードしている。SoxJ は、単独ではチオ硫酸酸化活性を持たない、SoxYZ、SoxB、SoxAXKを含む反応液に添加するとチオ硫酸酸化速度を約2倍に促進した。
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© 2009 日本植物生理学会
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