抄録
ヘリオバクテリアはType Iの反応中心を持つが、フェレドキシン(Fd)還元活性のある複合体は未だ単離されていない。われわれは、細胞抽出液より、硫安分画、陰イオン交換クロマトグラフィーにより、4Fe-4S型 Fdを精製した。嫌気的に調製したH. modesticaldumの膜画分を界面活性剤で可溶化、超遠心し、上清に反応中心に富む画分得た。この標品は、同細菌のフェレドキシン I、ホウレンソウのFd-NADP+ reductase(FNR)存在下に、NADP+光還元活性を示した。これをショ糖密度勾配超遠心し、反応中心に富む粗画分を得たが、その活性は12 μmol NADPH μmol BChl-1 hr-1であり、さらに高活性の標品の調製を目指している。そのポリペプチド組成を、SDS-PAGEおよびTOF-Massを用いたペプチドマッピングにより分析した。本細菌の全ゲノム塩基配列は明らかにされたが、FNR遺伝子は同定されていない。細胞抽出液よりNADPH-DPIPジアフォラーゼ活性を指標に複数の部分精製標品を得たが、もっとも活性の高い画分にはFNR活性がなかった。別のジアフォラーゼの精製と、FNRをコードすると推定される遺伝子のE. coli細胞での過剰発現を試みている。