日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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屈光性を示す Fischerella 属のシアノバクテリア
*片山 光徳
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p. 0596

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抄録
屈光性は生物が光の照射方向と関連した向きに成長する現象であり,植物や藻類,菌類などにおいて観察される。これらの真核生物に加えて原核生物にも屈光性を示すものがあり,シアノバクテリアの一種であるCalothrix およびScytonema (いずれもサブセクションIVに属する)が屈光性に該当する成長運動を示すことを昨年度年会で報告した。
その後の調査により,新たにサブセクションVに属するシアノバクテリアに屈光性を示す株が一株見いだされたので報告する。サブセクションVのシアノバクテリアは糸状体を形成し,細胞の分裂面が一つ以上であるという特徴がある。本株は真の分岐を行なう形態により Fischerella 属もしくはその近縁に分類される。これまでに見いだされている屈光性を示すシアノバクテリアには,極性成長を行ない,陸生で,青色光に対して正の屈光性を示すという共通の特徴があるが,本Fischerella 株もいくつかの点がこれに該当する。Calothrix属のシアノバクテリアの場合と同様にFischerella 属の中には屈光性を示さないものがいるため,その系統関係について解析を進める予定である。
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© 2009 日本植物生理学会
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