日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

シロイヌナズナ遺伝子破壊株を用いたPsbQ-Like(PQL)タンパク質の機能解析
*藪田 真也石原 靖子高林 厚史遠藤 剛伊福 健太郎佐藤 文彦
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 0609

詳細
抄録
シロイヌナズナには、光化学系II酸素発生系タンパク質であるPsbQの他、PsbQ-Like(PQL)タンパク質と呼ばれる機能未知のパラログが存在している。アミノ酸配列を用いたホモロジー検索および系統学的解析の結果、PQLタンパク質群は進化の過程でPsbQから新たに機能分化した高等植物特有のパラログ分子であることが示唆された。マイクロアレイデータが公開されているPQL1、PQL2遺伝子についてATTED-II(Obayashi et al.,2007)を用いた転写パターンのプロファイリングを行ったところ、循環的電子伝達のうち、乾燥・低温・高温等の環境ストレス下での役割が示唆されているNAD(P)H dehydrogenase(NDH)複合体サブユニット(NdhL、NdhN、NdhO、Ndf4、PPL2)とそれぞれ共発現していることが明らかとなった。そこでシロイヌナズナpql変異株をSalkタグラインより選抜し、PAMによるクロロフィル蛍光測定および、ウエスタン解析を行ったところ、いずれの変異株においてもNDHの活性および蓄積が失われていた。
これらの結果は、シロイヌナズナにおける複数のPQLタンパク質がそれぞれ、NDH複合体の蓄積に必須な新規のチラコイド膜内腔タンパク質であることを示唆していた。
著者関連情報
© 2009 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top