日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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短期的な赤色光および青色光照射下におけるイネとホウレンソウの光合成ガス交換特性と窒素利用特性
*大橋 敬子松田 怜栫 健二高瀬 将映蔵田 憲次
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p. 0616

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抄録
赤色光と青色光の混合光を長期間照射して育成されたイネとホウレンソウは赤色光単独照射で育成されたそれらと比べて,乾物生産量が高く,このことには葉身N濃度の増加に伴う光合成速度の増加が関係している.他方,青色光には気孔開口促進作用があるが,青色光の混合が直接的に葉の光合成速度を高めるかは未だ不明である.そこで,白色光で育ったイネとホウレンソウの葉を用いて短期的な赤色光と青色光照射下の葉のガス交換特性について解析を行った.
総PPFD300 μmol-2 s-1 において青色0%と青色20%における両植物の大気CO2分圧光合成速度,蒸散速度,気孔コンダクタンスおよび葉内CO2分圧に差はなかった.測定光青色光比率を100%にまで上げるにつれ,両植物ともに光合成速度は徐々に低下し,気孔コンダクタンスと蒸散速度は変動しなかった.本研究の条件では,赤色光への青色光の混合が直接的に葉の光合成速度を高めることはなかった.
青色光の混合による成育促進は,葉身のN濃度の増大が鍵となっているが,青色光が植物のN吸収あるいは吸収したNの利用にどのように影響を及ぼすのか明らかでない.この現象の一端をつかむために,短期的な赤色光と青色光照射下において,N同化の鍵酵素であるNADH依存性硝酸還元酵素活性と木部出液中の硝酸濃度の測定を行っており,その結果も報告する予定である.
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© 2009 日本植物生理学会
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