日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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クロレラの窒素化合物利用に対するアンモニアの役割
*谷口 陽亮
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p. 0620

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抄録
クロレラの生育過程は窒素源(硝酸)が十分存在するgrowing phaseの細胞と、窒素源が枯渇したstationary phase の細胞からなる。それぞれのphaseで硝酸(アミノ酸)輸送系に対するグルコースの効果と、青色光の効果(クロレラでは糖代謝を制御する)を比較した。その結果、1.growing phaseの野生株C.kesseleri、色素欠損株(M20、M125)で硝酸(アミノ酸)輸送は高い活性を示すが、グルコース添加(青色光照射)によりそれらの輸送系は抑制をうけることを見出した。2.stationary phase の細胞では硝酸(アミノ酸)輸送系は顕著に低下し、グルコース添加(青色光照射)により、それらの取り込みは顕著に誘導されることが認められた。
Growing phaseの細胞にグルコースを添加すると、硝酸の取り込みが抑制されるからくりについて、アンモニアによる制御が存在するかどうか検討した。グルコース添加した細胞にグルタミン合成酵素の阻害剤MSXを加え、遊離したアンモニア量を検討した。その結果、グルコース添加細胞では顕著なアンモニア放出が認められた。また硝酸取り込みはアンモニアによる抑制が認められ、アンモニアの優先利用が認められた。従って、グルコース添加(青色光照射)による硝酸取り込み抑制効果は細胞内で生成したアンモニアによる抑制と考えられる。
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© 2009 日本植物生理学会
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