日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ラン藻Synechococcus elongatusの硝酸還元酵素の制御機構の解析
*大橋 慶丈前田 真一小俣 達男愛知 真木子渡辺 智吉川 博文
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p. 0619

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抄録
ラン藻 S. elongatusの培地にNH4+を加えると、硝酸イオン・亜硝酸イオン輸送体(NRT)と硝酸還元酵素(NR)の活性が阻害されてNO3-やNO2-の吸収が停止する。この制御にはPII タンパク質とNRTの活性制御ドメインが関与することが分かっているが、NRの制御機構は不明である。最近、Yeast Two Hybrid法によって、窒素・硫黄欠乏や強光条件への適応に関与するレスポンスレギュレーターであるNblRのDNA結合ドメインがNRのモリブドプテリンドメインと相互作用することが示されたので、本研究ではNblRがNRの活性制御に関わる可能性について検討した。野生株のS. elongatusではNRだけでなくNRTもNH4+添加によって抑制されるので、NRTの活性制御ドメインを除去してNRTの制御を弱めたNC2株を親株としてnblR欠損株を作製し、NO3-とNO2-の吸収実験を行った。結果、nblR欠損株でもNC2株と同様、NH4+により硝酸イオンの吸収は停止し、NblRの有無に関わらずにNRが厳密に制御されていることが示された。現在、NblRのDNA結合ドメインとよく似たDNA結合部位をもつタンパク質についてNRとの相互作用を解析し、nblRとの二重欠損株を作製して、NRの制御への影響を解析している。
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© 2009 日本植物生理学会
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