日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナ PDF2 過剰発現体における花芽分化誘導遅延表現型の分子遺伝学的解析
*松山 善亮Robvieux Florent渡辺 綾子米田 好文
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p. 0628

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抄録
シロイヌナズナ PROTODERMAL FACTOR 2 (PDF2) は HD-ZIP type IV (HD-GL2 型) 遺伝子ファミリーに属する転写因子をコードし、茎頂分裂組織の L1 層で特異的に発現する。また、PDF2 と同じく L1 層で特異的に発現する ATML1 との二重変異体は、茎頂において細胞の層構造に異常が生じ胚性致死となることから、これらが L1 層の細胞分化・維持に重要な役割を協調して担うことが明らかとなっている。
PDF2 過剰発現体を作製したところ、表皮に異常は見られなかったが、花芽分化誘導遅延の表現型を示した。PDF2 過剰発現体では花芽分化誘導機構の統御過程に属する FT の発現量が低下しており、発現解析と多重変異体の作製から PDF2 過剰発現体の花芽分化誘導遅延は光周性経路上、CO 遺伝子の上流に原因があることが示唆された。
PDF2 過剰発現体に EMS 処理を行い、花芽分化誘導遅延の表現型が回復する突然変異体を4ライン単離した。単離された突然変異体では FT の発現量が野生型株並みに回復していた。この PDF2 過剰発現体のサプレッサーについて遺伝学的な解析を行うことで、光周性経路の CO 遺伝子の上流で機能する新規因子に関して知見を得ることができると期待される。
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© 2009 日本植物生理学会
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