日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナのCLAVATA2遺伝子に蓄積された有害な突然変異は、小胞体のHSP90型分子シャペロンSHEPHERDによって隠蔽されている
*丹羽 智子中村 研三石黒 澄衞
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p. 0685

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抄録
シロイヌナズナのCLAVATA2(CLV2)には、系統間で異なるアミノ酸置換が多く蓄積しており、その中でもWs系統由来のCLV2Wsの機能発現には、小胞体局在型の分子シャペロンHSP90であるSHEPHERD(SHD)が必要なことが、これまでの解析で明らかになっている。このことは、Ws系統のCLV2に生じた変異をSHDが隠蔽していることを示しており、「HSP90の作用によって変異を表在化させずに隠蔽した結果、系統間で多数の潜在変異が蓄積している」というRutherfoldとLindquistの仮説(1998)を支持する1つの証拠だと考えている。
そこでまず我々は、CLV2WsのSHD依存性の原因となったアミノ酸置換の同定を試みた。部位特異的にアミノ酸を置換したCLV2Ws遺伝子をshd変異体に導入してそのSHD依存性を評価し、CLV2WsがSHD依存的になったのは1個のアミノ酸置換が原因であることを明らかにした。次に、シロイヌナズナ93系統のCLV2遺伝子のシーケンス解析を行い、32パターンのアミノ酸配列を同定した。このように多様なCLV2が上記の仮説に基づいて現れたのだとすれば、CLV2Wsと同様にSHDによりその変異を隠蔽されているCLV2が他にも存在するはずである。そこで、代表的な15パターンのCLV2に着目し、それらのSHD依存性について解析を行った。
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© 2009 日本植物生理学会
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