日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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植物のLSD1様タンパク質の機能解析
*中村 歩高林 賢吾天野 晃彰上中 弘典
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p. 0684

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抄録
シロイヌナズナのAtLSD1はプログラム細胞死(PCD)の負の制御因子であり、転写因子との相互作用を介し、細胞質リテンションタンパク質として間接的に転写制御を行うことを明らかにしてきた。AtLSD1はLSD1タイプのジンクフィンガーモチーフ(zf-LSD1)を3つ持つが、同様の構造を持つホモログAtLOL1は相反するPCDの正の制御因子である。貴報の論文やゲノム情報を利用して他の植物のzf-LSD1を3つ持つタンパク質を調べると、イネには3つ、トマト、ブロッコリーには2つ、ヒメツリガネゴケとクラミドモナスにはそれぞれ1つ存在することが明らかになった。酵母のツーハイブリット法を用いた解析を行ったところ、zf-LSD1を3つ持つこれらのLSD1様タンパク質も、シロイヌナズナのAtLSD1と相互作用する転写因子と”GxP”モチーフを介して相互作用することを明らかにした。AtLSD1のC末端領域には、AtLOL1には存在しない他の植物のLSD1様タンパク質と高い相同性を示す領域が存在するが、興味深いことに、ヒメツリガネゴケとクラミドモナスにはこの領域を持つAtLSD1型の遺伝子しか存在しなかった。これらの知見から、進化の過程で植物は新たにAtLOL1型の遺伝子を獲得し、タンパク質としての機能が高度に保存された複数のLSD1様タンパク質によるPCDの調節機構を獲得してきたと示唆される。
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© 2009 日本植物生理学会
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