日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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αケトール型オキシリピン9-hydroxy-10-oxo-12(Z),15(Z)-octadecandienoic acid(KODA)の定量分析と生合成遺伝子LOXの生理機能解析
*綾野 まどか渡辺 修治村田 有明中嶋 直子生駒 吉識嶋田 幸久吉田 茂男
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p. 0693

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抄録
KODAはリノレン酸由来のオキシリピン類の一つで、乾燥ストレスを与えたアオウキウサや暗処理したアサガオの実生に内生することが確認されている。したがってKODAはストレス誘導物質、花芽形成促進物質として機能すると推測される。その生合成の過程は2段階で進行し、lipoxygenase(LOX)がヒドロペルオキシ基をリノレン酸の9位に導入し、続いてallene oxide synthase(AOS)が10位の酸化を触媒すると考えられている。オキシリピン類植物ホルモンであるJAではヒドロペルオキシ基が13位に導入され、12位はAOSによる酸化を受ける。しかし、シロイヌナズナのLOXコード遺伝子は6個存在するがAOSは1個だけであり、AOSの基質特異性を含めたこれらの酵素機能の詳細には不明な点が多い。シロイヌナズナに対するKODAの作用は連続噴霧投与によって花序や葉の伸長促進傾向が認められるが、明確ではない。そこで、シロイヌナズナのLOXおよびAOSの欠損および過剰発現株を作成し、それらの表現型とKODA内生量の関連を調べた。定量分析にはGC/MS法を用い、同位体で標識した合成KODAを内部標準に用いて測定を行った。その結果、野生型と比較してLOXやAOSの変異株では内生KODA量が変化する事、表現型の違いは葉身及び花序に現れる事が明らかになった。
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© 2009 日本植物生理学会
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