抄録
酵母を中心とした遺伝学的解析から、ペルオキシソーム形成維持に関わる因子として同定されたペルオキシソーム形成因子(PEX)はシロイヌナズナゲノム上に約20種類予測される。これまでに、我々はシロイヌナズナPEX遺伝子をRNAi法によって発現抑制し、これらの遺伝子がシロイヌナズナペルオキシソームの形態とマトリックスタンパク質の輸送に直接関与していることを明らかにした。また、ペルオキシソームマトリックスタンパク質輸送に関与する因子に焦点を当て解析を行った結果、これらの発現抑制株ではペルオキシソームの脂肪酸分解機能が著しく低下することが明らかとなった。その中でもPEX10発現抑制株では葉の部分的黄化や近接器官の融合がみられ、野生型の植物だけでなく、他のPEX発現抑制株と比較しても表現型が著しく異なっており、PEX10発現抑制株でみられる表現型はクチクラワックスに起因していた。本研究では、PEX10発現抑制株を用いたマイクロアレイ解析によって、PEX10の発現が低下した時に影響を受ける遺伝子群の同定を行い、PEX10特異的にみられる表現型の原因とPEX10特異的機能について検討する。