日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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重金属ストレスに対するラン藻 Oscillatoria brevis のリプレッサー蛋白BxmRの機能に関する分子遺伝学的解析
*田川 進也中島 進江崎 文一
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p. 0761

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抄録
O. brevisは水生ラン藻であるが、主にAg、Cu、Zn、Cd等の重金属に耐性を持つ。我々は既にこれらの重金属に対する耐性に関連する3遺伝子bmtA、bxa1、bxmRの存在を明らかにした。さらにこのラン藻のリプレッサーであるBxmR蛋白も1、2価の重金属で誘導されること、メタロチオネインをコードするbmtA遺伝子と重金属排出ポンプをコードするbxa1およびbxmR遺伝子自身の3者を制御することも報告している。今回、このBxmR蛋白とbmtAおよびbxmR遺伝子上流に存在するプロモーター領域の転写調節での関わりを調べた。まず、ゲルシフトアッセイ(EMSA)により結合位置を確認し、DNAフットプリンティングでBxmR蛋白の結合する具体的な領域を特定したところ、BxmR蛋白は両遺伝子配列の上流域に存在する12-2-12 inverted repeat領域に結合することが分かった。さらに、変異導入した12-2-12領域を含むDNA断片とBxmRとの結合力の変化をEMSAにより解析した結果、低下することが分かった。また、Fe、Au、La、CrなどによるBxmR蛋白のプロモーター結合能に対する影響も検討した結果、Auに特に応答し、解離した。さらにO. brevisにAuを暴露した際、bmtAとbxa1遺伝子発現量の上昇が見られ、in vivoとin vitroの結果が非常に良く一致した。
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© 2009 日本植物生理学会
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