日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ヒメツリガネゴケにおける高親和性硝酸イオン輸送体のプロモーター解析
*柘植 康甫笹川 周作上坂 一馬辻本 良真前田 真一小俣 達男
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p. 0760

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抄録
高親和性硝酸イオン輸送体(NRT2)は、植物の主要な窒素源である硝酸イオンを外界から吸収する際に重要な役割を担っている。ヒメツリガネゴケの8つのNRT2のうち、主成分であるNRT2;1NRT2;4の発現はすべて硝酸イオンと亜硝酸イオンによって活性化され、グルタミンによって抑制されるが、グルタミンへの感受性と硝酸イオンへの依存性に違いがある。すなわち、硝酸イオンに対する親和性が特に高いNRT2;1NRT2;2NRT2;4は無窒素条件下でも発現するのに対し、NRT2;3の発現には硝酸イオンが必要である。またNRT2;3は他の3つに比べグルタミンに対する感受性が低い。このような窒素化合物に応答するシス因子を同定するためにNRT2;1NRT2;3の上流配列をluc遺伝子につないだ融合遺伝子をヒメツリガネゴケへ導入したところ、NRT2;1の転写開始点から-2440bp、NRT2;3の-3288bpまでの配列を融合した場合、それぞれ硝酸イオンによる発現の活性化が確認された。さらにNRT2;1の上流配列を上流側から削った結果、-2440bpから-2079bpまでの領域が硝酸イオン及び亜硝酸イオンによる転写活性化に必要であった。現在、比較のためにNRT2;3についても同様の解析を進めている。
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© 2009 日本植物生理学会
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