日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

シロイヌナズナ由来FtsH5のATPaseドメインの機能解析
*天野 豊己佐々木 由美子宮本 明奈
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 0785

詳細
抄録
FtsHプロテアーゼは、葉緑体のチラコイド膜に存在しており、膜タンパク質の品質管理を行っている。光化学系IIのD1タンパク質は、光合成反応時に特に損傷を受けやすいため代謝回転が速い。FtsHプロテアーゼはこの分解を担う酵素の1つである。また、この酵素が欠損した植物は斑入りの表現型を示すことから、葉緑体の発達に重要な役割を担っていると考えられている。葉緑体の発達はタンパク質の合成と分解のバランス重要で、本酵素が欠損することでそのバランスが崩れるために、斑入りが形成されるものと考えられている。本酵素は、N末端側からチラコイド膜との結合に重要な膜貫通ドメイン、ATPaseドメイン、プロテアーゼドメインから構成されている。細菌由来のFtsHプロテアーゼによる研究から、基質タンパク質はATPaseドメインでエネルギー依存的に変性し、プロテアーゼドメインに輸送され、そこで実際に切断されると考えられている。シロイヌナズナには、核ゲノム中に12のFtsH相同遺伝子が知られており、本研究ではそのうち特に強い斑入りの表現系を示す遺伝子の1つであるFtsH5についATPaseドメインの解析をおこなった。発現系は大腸菌を宿主として構築した。可溶性画分に十分な量のタンパク質を回収し、生化学的および酵素反応速度論的に解析を行った。
著者関連情報
© 2009 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top