日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ダイコンアクアポリン導入ユーカリ株の生理特性
*土平 絢子半場 祐子加藤 直樹土居 智仁河津 哲前島 正義
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p. 0823

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抄録
アクアポリンは生体膜において水および多様な小分子を輸送することで植物の生育を支えている。本研究では樹木におけるアクアポリンの機能解明のために、形質転換法の確立しているユーカリを対象として、細胞膜アクアポリンPIP1PIP2を導入し、形質転換株における生育特性を解析した。なお導入したダイコンのPIP2は水チャネル活性が高く、PIP1では活性が検出できない。
ユーカリに、35Sプロモータに連結したPIP1あるいはPIP2のDNAを、アグロバクテリウム感染法により導入した。形質転換カルスを植物体へと誘導し、その挿し木により個別植物体へと生育させた。同じ生育段階にある葉を試料として、光合成量、蒸散量、そしてPIPのmRNAとタンパク質量を測定し、枝の生育を測定した。PIP2導入株では、導入PIP2のmRNAが確認でき、PIP2タンパク質が明確な量として確認できた。野生株に比べ、PIP2導入株では光合成速度、蒸散量当たりの光合成速度、枝の成長量において顕著な増大が見られた。一方、PIP1導入株ではPIP2タンパク質量に変化はないが、内在性PIP1も含めたタンパク質量が著しく減少し、一部の株は枯死し、他の株では上記の指標において顕著な低下が見られた。いずれもアクアポリンの重要性を示していると判断される。自然林のユーカリ樹種におけるアクアポリン量の生育特性との関連も合わせて考察する。
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© 2009 日本植物生理学会
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