抄録
植物の生育は乾燥、高塩、低温のような環境ストレスの影響を受ける。シロイヌナズナのDREB1/CBFはシスエレメントDRE/CRTに結合し、多くのストレス応答性遺伝子の発現を制御している転写因子である。我々はイネのDREB1ホモログ遺伝子としてOsDREB1を単離した。これまでに、OsDREB1A遺伝子は低温誘導性を示し、この遺伝子を過剰発現したイネではlip9などの多くのストレス誘導性遺伝子の発現が上昇して、乾燥・高塩・低温ストレス耐性になることを報告した。また、イネはOsDREB1遺伝子ファミリーとして10遺伝子を保持しているが、乾燥・高塩誘導性のものがあること、9遺伝子は転写活性化因子としての機能を持つこと、DNA結合特性に違いがあると推察されることを報告した。
今回、我々は各OsDREB1遺伝子の発現の組織特異性を調べるために、それぞれの遺伝子のプロモーターでGUS遺伝子の発現を制御した形質転換イネを作製した。OsDREB1Cは、低温処理により根において強く発現することが確認された。またシロイヌナズナのT87細胞を用いた一過的発現実験を利用して、各OsDREB1タンパク質がイネのlip9遺伝子のプロモーターを直接活性化できるか調べた。OsDREB1A, 1C, 1E, 1G, 1Iはlip9遺伝子のプロモーターを直接活性化できることを確認した。