日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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OPDAによるストレス応答性転写因子HsfA2及びDREB2Aの誘導とその機構
*戸梶 賀仁増田 真二横井(西澤) 彩子重岡 成太田 啓之
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p. 0846

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抄録
ジャスモン酸(JA)生合成の中間体である12-oxo-phytodienoic acid(OPDA)はJAの前駆体であるだけでなく、それ自身がオキシリピンシグナルとして機能し、遺伝子発現を制御している。しかし、OPDAのシグナル伝達機構はほとんど明らかにされていない。本研究ではOPDAのシグナル伝達機構を明らかにするために、OPDAに特異的応答を示す遺伝子群の中の熱ショック転写因子HsfA2及び、乾燥・高温耐性の獲得に関わる転写因子DREB2Aに着目し、タンパク質合成阻害剤(シクロヘキシミド)やHSP90阻害剤(ゲルダナマイシン)存在下での転写応答を解析した。
HsfA2及びDREB2Aの発現はよく似た挙動を示し、OPDA処理により8~10倍程度に増大するが、シクロヘキシミドとの同時処理によりその発現は数百倍にまで増大した。このことから、OPDAによるこれらの遺伝子発現に抑制的に作用するタンパク質の存在が示唆された。また、ゲルダナマイシンを単独処理した場合、及びOPDAと同時処理した場合、これらの遺伝子の発現が一過的に誘導されたことから、これら2つの転写因子の発現にHSP90が抑制的に作用することが示された。しかし、OPDAとシクロヘキシミドとの同時処理の場合とは異なる発現プロファイルを示したことから、HSP90以外にも未知の抑制性タンパク質が存在する可能性が示唆された。
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© 2009 日本植物生理学会
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