抄録
ジャスモン酸(JA)は病虫害などのストレス応答や生長調節・老化などに関わる植物ホルモンである。我々はイネのJA応答性転写因子としてRERJ1を単離し、その機能解析を行っており、これまでにRERJ1が転写活性化因子として機能することなどを報告した。今回、RERJ1のTos17挿入変異株の取得とこれを用いたマイクロアレイ解析を行い、RERJ1標的候補遺伝子の探索を試みたので報告する。
Tos17挿入変異株のDNAプールを用いてPCRスクリーニングにより単離したrerj1変異株は、RERJ1ゲノム領域中の第1イントロンと第2エキソンの境界配列を重複する形でTos17が挿入されており、完全長RERJ1 mRNAの発現はJA処理時においても見られなかった。そこで、野生型株および変異株の培養細胞に対して終濃度100 μMで JAを処理し、処理後0, 2, 4, 6 hのサンプルからRNAを抽出後、経時的マイクロアレイ解析を行った。階層的クラスタリング解析を行ったところ、RERJ1の標的候補遺伝子として51遺伝子が絞り込まれた。現在、これらについて発現解析および上流域へのRERJ1の結合の有無の解析を行っている。