日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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全寄生植物ヤセウツボのフィトクロム A はシロイヌナズナで機能するか?
*岡澤 敦司高木 一輝馬場 健史福崎 英一郎米山 弘一竹内 安智小林 昭雄
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p. 0856

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抄録
【背景・目的】植物の光受容体は光形態形成に関与しており,フィトクロム (phy) は赤色/遠赤色光受容体である.全寄生植物であるヤセウツボは光合成を行わず宿主から水と養分を獲得しているため,その光シグナル伝達系は光合成の制御に関する部分が変化し,その他の形態形成の制御に関する部分は保存されていると推測した.ヤセウツボ由来 phyA (OmphyA) では,他の光合成植物に見られない26ヶ所のアミノ酸の置換が確認され,これらの置換は GAF や PHY といったドメイン中にも存在していた.これらのアミノ酸の置換の影響を明らかにするために OmphyA をシロイヌナズナ phyA 欠損変異株へ導入し,その機能が相補されるか検討した.
【方法・結果】シロイヌナズナ phyA 欠損変異株 phyA-211 に OmPHYA 遺伝子を導入した形質転換体を作出した.発芽後4日間暗所で育成した後に,白色及び遠赤色光下で 24 時間処理した芽生えを用いマイクロアレイ解析及びメタボローム解析を行った.これらの結果,OmPHYAを導入した形質転換体は,野生株とも変異株とも異なる遺伝子発現および代謝プロファイルを示し,OmphyA がシロイヌナズナの phyA の機能を部分的に相補出来ることが明らかになった.現在,アミノ酸の置換と phyA の機能の変化について検討中である.
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© 2009 日本植物生理学会
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