抄録
青色光受容体フォトトロピン(phot1, phot2)は光屈性, 葉緑体定位運動, 葉の平坦化, 気孔の開口等の生理応答を誘導する。シロイヌナズナのphot1は青色光に依存してキナーゼドメインのアクティべーションループが自己リン酸化され、これが上記の生理応答に共通して必要であることが解明されたが、phot2に関してはこの部位のリン酸化の生理学的意味は明らかでない。本研究では、アクティべーションループに保存されたSer-761とSer-763をAlaに置換したPHOT2遺伝子をphot1phot2二重変異株に導入し、変異phot2蛋白質がフォトトロピンの生理応答を正常に誘導できるか調べた。Ser-761とSer-763がAlaに置換された形質転換植物ではphot2応答がすべて抑制されたが、Aspに置換された形質転換植物ではphot2応答がほとんど正常に誘導された。以上の結果は、phot2においても青色光に依存したキナーゼアクティべーションループの自己リン酸化が下流への情報伝達に必要で、phot1と phot2の間で共通に必要な生化学ステップであることを示唆している。
