小胞子初期イネ葯において冷温応答性の発現を示す遺伝子とそのプロモーターの解析

抄録

東北日本において甚大なイネの冷害をもたらす小胞子初期の冷温による花粉の発育障害発生について、その間の葯での冷温による遺伝子発現変動に着目し機構解明を進めている。小胞子初期から小胞子中期にかけて冷温に応答して発現レベルを低下させるジャスモン酸生合成遺伝子OPDAR1とタンパク質分解酵素に類似のドメインを持つ機能未知遺伝子Radc1、そして逆に発現レベルを上昇させるポリアミン生合成遺伝子SAMDC1について、遺伝子のプロモーター配列（5'上流域およそ2 kbp以内）にレポーター遺伝子GUSを連結したコンストラクトをイネに導入し、遺伝子の葯における発現様式と冷温応答性を調査した。本発表では、これらの上流配列およびDNAトランスポゾンを含む配列が発現調節に果たす役割、およびポリアミン、ジャスモン酸やイネ葯冷温ストレス応答遺伝子が花粉形成機能の維持あるいは花粉発育障害発生において果たす機能について考察する。