日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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鉄欠乏応答性シスエレメント結合性転写因子IDEF1は鉄欠乏の初期応答に必須である
*小林 高範板井 玲子小郷 裕子筧 雄介中西 啓仁高橋 美智子森 敏西澤 直子
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p. 0934

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抄録
植物は鉄欠乏に応答して鉄の吸収・利用に関与する遺伝子群の発現を誘導する。これまでに我々は、鉄欠乏応答性シスエレメント IDE1(Iron Deficiency-responsive Element 1)、IDE2および、これらに特異的に結合するイネの転写因子 IDEF1(IDE-binding Factor 1)、IDEF2を同定した。IDEF1はABI3/VP1転写因子ファミリーの新規のサブグループに属し、IDE1内のCATGC配列に特異的に結合する。鉄欠乏誘導性IDS2プロモーターの制御下でIDEF1を発現させた形質転換イネは、初期の鉄欠乏に耐性を示す。今回の発表では、このIDEF1発現誘導イネおよび、RNAi法により新規に作製したIDEF1発現抑制イネを用い、水耕栽培により経時的な鉄欠乏応答を詳細に検討した。IDEF1発現抑制イネは初期の鉄欠乏に感受性を示した。マイクロアレイ法および定量的RT-PCR法により遺伝子の発現プロファイルを調査したところ、鉄の吸収・利用に関与する鉄欠乏誘導性遺伝子の大多数が鉄欠乏1日目の根においてIDEF1により正の制御を受けることが明らかになった。これらのIDEF1標的遺伝子のプロモーター領域には、IDEF1結合コア配列が高い確率で存在した。以上の結果から、IDEF1 はイネの鉄欠乏の初期応答に必須であると考えられた。
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© 2009 日本植物生理学会
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