日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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44Kマイクロアレイによるイネアルミニウム応答遺伝子の網羅的解析
*筒井 友和黄 朝鋒山地 直樹長村 吉晃馬 建鋒
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p. 0933

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抄録
イネは,アルミニウム(Al)耐性植物として知られているが,その耐性機構については未だ明らかになっていない.本研究では,44KオリゴDNAマイクロアレイを用いて,根の先端と基部に分けてAlに応答する遺伝子をイネ耐性品種(コシヒカリ)とAl高感受性変異体star1/als1 (sensitive to Al rhizotoxicity 1)との間で比較検討した. 20μM Al,6時間の処理によって根の先端で発現量が3倍以上変動した遺伝子は野生型で786個であったのに対して,変異体では5547個であった.そのうち,624個は共通の遺伝子であった.一方基部では,野生型と変異体でそれぞれ616個と8676個の遺伝子発現が誘導され,うち453個は共通であった.また根の先端と基部を比べると,野生型では207個、変異体では3539個の共通遺伝子の発現変動が見られた.野生型のみで発現誘導される遺伝子(根先端162個)を耐性遺伝子,変異体のみで発現が誘導される遺伝子を障害遺伝子(根先端4923個)として,遺伝子の機能分類をすると,耐性遺伝子には転写因子やシグナル伝達関連の遺伝子が含まれていた.一方,障害遺伝子には,一般的なストレスによって誘導される遺伝子が多く含まれていた.現在、耐性遺伝子群から幾つか興味深い遺伝子を選んで,Al耐性におけるこれらの遺伝子の機能を解析している.
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© 2009 日本植物生理学会
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